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早良区内野の生姜農家「山の農園」

北崎ひもの通り「まる弥の魚卓」漁師のお母さんが
毎日仕込む、新鮮なひものと鯛茶漬け

まる弥の魚卓 柴田弥生

福岡市の西の端、糸島市と隣り合う、西区の北崎地区。小田、畑中などの農業地域と、唐泊、西浦などの漁業地域からなり、人口約3,000人、870世帯が暮らしています。玄界灘に面する漁業地域は、対馬海流の荒波に揉まれて、脂ののったおいしい魚が水揚げされる、資源の豊かな地。しかし、高齢化率は北崎全体で25%を超え、他の地域と同様に後継者不足が問題となっています。そんな中、この西浦(にしのうら)では、地元の魚をおいしく食べられ、お土産も買える「北崎ひもの通り」が漁師のお母さんたちの手で立ち上がり、10年以上営業を続けています。今回は、ひもの通りで「まる弥の魚卓」を営む柴田弥生さんにインタビュー。お店のことや商品のこと、北崎のこれからについて、聞いてきました。

その日のうちに仕上げるひもの

「北崎ひもの通り」は、いつ、どんなふうにできたのですか?

北崎の中でも西浦地区は、牡蠣で有名な唐泊と糸島の間やけん、国道を通ってみんなひゅーっと通り抜けてしまって、人が寄ってくれんとですよ。それじゃいかん、おいしい魚を使って何かしようって、12年くらい前に「ばんじろー」(2軒となりのお店)さんが最初にこの場所でお店を始めて、次に「太洋丸のお魚」さんができました。うちの店は、私がゴルフ場のキャディの仕事を辞めた7年前から始めて。この建物はもともと、いりこ出汁用のいわしの加工工場やったんです。いわしを茹でる大きな釜が並んでて、昔はみんなここで作業しよったとですよ。いりこがあまり穫れんくなって、使われなくなったんで、柱だけ再利用して、店を営業できるようにしたんです。

生魚じゃなくて「ひもの」が売りなんですか?

生の魚を出すには飲食店の営業許可も必要やし、毎日お客さんに来てもらわないといかんでしょ? ひものだったら加工品やから日持ちもするけん、始めやすかったってことですね。結局うちの店は中で食事も出せるようにしたんで、食品衛生責任者の資格も取りましたけど。ひものと言っても、新鮮なんですよ。その日の内にパック詰めまでしますけんね。

その日のうちにパック詰めされるのですか?

そうですよ。船から選んで仕入れた魚を塩漬けして、乾燥させて、夕方くらいに袋詰めまでします。夏だと乾きが悪くて、終わらない場合もあるけん、その時は先に漁から帰ってくるお父さんたちを迎えにいって、家でご飯食べさして、それから加工場に戻って続きをやるんよ。遅いと夜中の1時ぐらいまでかかることもあってね。

「まる弥の魚卓」のメニューは、基本的に2種類。小鉢・ひもの・みそ汁つきの鯛茶漬け丼(980円)と、好きなひものを選びお母さんが炭で焼いてくれる、ひもの定食。(ひもの代+600円)。お米はお母さんの故郷、一貴山の棚田米。小鉢の切干大根もきゅうりも、地元の新鮮なものばかりです。4〜12月の土日祝日お昼のみオープン。

大変ですね! 魚はお母さんが船から仕入れるんですか?

そうです。うちも、ここでお店してる他の人も、みんなお父さんは漁師やけん。自分で選んでいい魚を買えるのは、嬉しいよ。「この魚でひもの作りたい!」って思うけんね。

地元の味をそのまま商品に

どんな魚が穫れるんでしょう?

なんといっても、この辺りは鯛が一番! 桜鯛、連子鯛、イサキ、カワハギなんかが穫れます。去年はウマヅラハギが穫れたので、うちの店でも味噌汁にして出しましたよ。でも1〜3月は、漁はお休み。だから、この店もお休みします。4〜12月が漁の期間やけど、シケだの何だのと漁に出られん日も多くてね。

弥生さんの娘さんが描いた直筆の看板。お店のロゴや、商品ののし袋も、器用な娘さんによるデザインです。
糸島半島の北端に位置する西浦。唐泊の牡蠣の賑わいや、糸島のリゾート感とも違い、地元の生活の中にある静かな海が広がっています。

鯛茶漬の素や、鯛飯の素もあるんですか。おいしそうですね。この商品は、どうやって生まれたんですか?

うちで昔から食べてた鯛茶漬や鯛飯を、そのまま商品にしたの。鯛茶漬の方は、解凍したらまずはそのまま刺身で食べてもらって、残りはねぎを入れてお茶漬に。鯛飯の素は、炊き込みご飯ではなくて、炊いた白米に後から混ぜ合わせる、混ぜご飯ね。西浦独自の食べ方なんですよ。地元のしょうゆを使ってるから、甘みがあっておいしいの。この2品は、お歳暮やお中元でよく注文が入る人気商品です。

家族や親戚、若い人の助けも借りて

高齢化が地域の課題と聞いています。実感はありますか?

うちのお父さんがいま65歳で、船頭さんは63歳、あとは70代の乗組員もふたりいますから、やっぱり高齢化してるかしらね。でも最近になって、若い人も手伝ってくれるようになりましたよ。仕事は重労働やけど、ちゃんと頑張ってくれとって嬉しいですよ。

よかったですね。お子さんたちも手伝ってくれるのですか?

うちの娘ふたりも、よく手伝ってくれますよ。上の娘は、いま長浜の会社で働いてるけど、週末に店を開けてるときは、いつも手伝ってもらってます。ちゃんとバイト代を出せない時もあるから、申し訳ないんやけど。Facebookも2年くらい前に、娘から「お母さんもこんなんせな、売れんよ」って言われて始めて。私はほとんど写真を撮るだけで、文章は娘が書いてくれとるの。私が書くと、真面目でつまらないものになっちゃうけど、娘が書いたら読みやすいけんね。

「まる弥の魚卓」の人気商品。手前が、鯛茶漬の素(310円)と鯛飯の素(520円)。新鮮で肉厚の鯛と、甘い漬けダレで大満足の一品。ひもの類は、左から時計回りにかなぎ、鯛、いか、さば(時価)。まとめ買いのお客さんも多いとか。

お店の今後の展望を教えてください。

まずは、安心して食べられる物作りですね。始めた当初から農薬は必要最低限に抑えてますし、自分の生産技術が上がっていくにつれて、使う量もより少なくて済むようになっています。また、牛糞などではなく、人間でも食べられる大豆や米、麦など穀物を使った有機肥料を使って、土作りをしています。販売の工夫という点では、かつての防空壕を利用して地下貯蔵庫を作り、シーズンオフの冬から春にかけても安定して出荷できるようにしています。

地域の将来のために、これから取り組みたいことはありますか?

国道沿いに「志摩の四季」や「伊都菜彩」みたいな直売所を作りたいと、前から考えとるんですよ。北崎は、花も農産物も海産物も資源が豊富なのに、売る場所がなくてね。遊びに行くのが目的で糸島方面に向かう若い人は、なかなかひものまで買って帰ってはくれんので。北崎の食材をまとめて買える場所があれば、きっと売れると思いますよ。いいものが多いけんね。私自身も、いいひものを作る方にもっと専念できたら、嬉しいですね。

まる弥の魚卓

https://www.facebook.com/Maruya.yayoi
福岡県福岡市西区西浦ひもの通
※「まる弥の魚卓」の鯛茶漬やひものは、「パームビーチマーケット23」でも一部購入できます。

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